- 生成AIの導入を検討している自治体職員・DX推進担当者
- 「議事録」や「窓口対応」など、具体的な業務効率化の事例を知りたい方
- 失敗しないためのガイドライン策定やセキュリティ対策を学びたい方
人口減少による人手不足や、多様化する住民ニーズへの対応が求められる中、全国の自治体で「生成AI」の活用検討が急速に進んでいます。
2023年に横須賀市が全国に先駆けて全庁的な実証実験を開始して以来、多くの自治体が「業務効率化」と「住民サービスの向上」を目指して導入に踏み切りました。
しかし、導入を検討する現場からは「具体的にどの業務で使えるのか?」「情報漏洩のリスクはどう防ぐのか?」といった懸念の声も少なくありません。
本記事では、総務省の資料や先行自治体の事例に基づき、自治体における生成AIの具体的な活用事例と、安全に運用するためのガイドライン策定のポイントを解説します。
1. なぜ今、自治体で生成AIなのか?導入のメリット

自治体において生成AIが注目される最大の理由は、圧倒的な「時間短縮」と「業務効率化」への期待です。
これまでのDX(デジタルトランスフォーメーション)と異なり、生成AIは職員が日々行っている「文章作成」「要約」「アイデア出し」といった作業を直接サポートします。
定量的データで見る導入効果
先行する自治体の実証実験では、具体的な削減効果が報告されています。
- 横須賀市:文章作成や要約などの業務において、実証実験の結果、業務時間の短縮効果が確認されています。
- 東京都:独自の文章生成AI環境を構築し、資料作成等の業務効率化を推進しています。
2. 【庁内業務】すぐに真似できる活用事例3選
導入のハードルが低く、多くの自治体がスモールスタートとして取り組んでいるのが「庁内業務」での活用です。
総務省の事例集などでも頻出する、代表的な3つの活用シーンを紹介します。
① 議事録・会議資料の要約
会議後の議事録作成を自動化
文字起こしテキストから、必要な情報をAIが瞬時に構造化
文字起こしテキスト
会議の発言内容をそのままテキストデータとして用意します。
AIに入力・解析
AIが文脈を理解し、重要なポイントを整理・分類します。
議論の要点を簡潔にまとめる
会議で決まった結論を抽出
誰が何をやるかタスク化
最もポピュラーな活用法です。会議の文字起こしテキストをAIに入力し、要約や「決定事項」「ToDo」の抽出を行わせます。
メリット
② 広報文・挨拶文の素案作成
AIによる「たたき台」作成
挨拶文、お知らせ、SNS投稿などを瞬時にドラフト化
テーマ・要件の入力
作成したい文書の目的や条件をAIに指示します。
AIによる構成案生成
文脈を理解し、適切な構成と表現でドラフトを作成します。
複数の「たたき台」完成
用途に合わせた複数のバリエーションが即座に手に入ります。
市長の挨拶文、Webサイトのお知らせ、SNS投稿文などの「たたき台」作成に利用されます。
活用法
ターゲットに合わせた文章生成
AIへの指示出しひとつで、トーンや文体を自在に調整
「〇〇市民に向けた、
親しみやすいトーンで」
「〇〇市の皆さん、こんにちは!
私たちの街をもっと元気にするために、新しい取り組みを始めます…」
ターゲットに響く表現を即座に提案
③ 政策立案・企画のアイデア出し
AIを「壁打ち相手」に活用
地域課題の解決策やイベント企画のアイデア出しを加速
地域課題の解決策やイベント企画のブレインストーミング相手として活用されています。
活用法
AIで「新しい切り口」を発見
アイデアを10個出して」
3. 【住民サービス】先進的な活用事例
庁内業務での利用が進むにつれ、住民サービス(フロント業務)への適用も始まっています。
AIによる業務効率化:窓口・FAQ
窓口対応の補助
住民からの問い合わせに対し、AIが回答候補を提示。経験の浅い職員でもスムーズな対応が可能になります。
FAQの自動生成
庁内に蓄積されたマニュアル等を読み込ませ、住民向けの「よくある質問(FAQ)」を効率的に作成します。
4. 失敗しないための「ガイドライン」と「リスク対策」
個人情報保護委員会や総務省からも注意喚起が出されており、自治体には、個人情報保護法および各自治体の条例に基づいた厳格な安全管理措置が求められます。
ガイドラインに盛り込むべき3つの原則
AI利用の3つの重要ルール
個人情報の入力禁止
住民の氏名・住所、非公開の政策情報などは、AIに絶対に入力しないことを徹底してください。
必ず人の目で確認
AIは嘘をつく(ハルシネーション)可能性があります。必ず職員が裏付けをとる必要があります。
著作権への配慮
生成物が第三者の権利を侵害していないか、確認するプロセスを必ず設けてください。特に、既存の著作物との「類似性」と「依拠性」が認められる場合は、著作権侵害となるリスクがあります。
LGWAN環境への対応
自治体特有の閉域ネットワーク「LGWAN(総合行政ネットワーク)」環境下でも利用できる、セキュアな生成AIツールの導入が進んでいます。
セキュリティポリシーに合わせて、適切なツール選定を行うことが重要です。
導入にあたっては、各ベンダーが提供する「自治体向け専用LLM環境」や「プロンプト入力を学習に利用しない設定」の確認が不可欠です。
5. 参考にするべき一次情報・公式サイト

導入計画を立てる際は、以下の信頼できる情報源(一次情報)を確認することをおすすめします。
- 総務省:自治体における生成AI活用事例集
全国の事例が網羅されており、最も信頼性が高い資料です。 - 横須賀市:生成AI活用の取り組み
導入マニュアルやプロンプト集など、実務に役立つノウハウが公開されています。
まとめ:まずは「入力禁止情報のルール化」から
自治体における生成AI活用は、「議事録作成」や「文章要約」などのリスクの低い業務からスモールスタートするのが成功の鍵です。
まずは「個人情報は入力しない」というルールを明確にした上で、無料のトライアルや先行自治体のガイドラインを参考に、業務効率化の第一歩を踏み出しましょう。